『生徒会長の秘密。』

これは私の高校生活の中で最も恥辱的な出来事だ。一生忘れられない思い出。
でもそれが、私たちの未来と運命を変えることになるのだった……。

「部長。部長に話がしたいと言う生徒がいますがどうしましょう?」
「……通して」
「は、はい」
副部長に案内されるまま二人の少年は科学部の部室にやってきた。
「科学部部長、篠原咲です。私に何か?」
咲は事務机に向かってよく分からない文章や化学式を綴っている。
「自分たちは、二年の寺町と、三条です。篠原部長に頼みがありまして……」
二人の少年はそわそわして少し怪しい雰囲気を醸し出していたが、咲は気にせず話を続けさせる。
「頼みって?」
「あの、生徒会長を嵌めて欲しいんです」
「え? 嵌める?」
予想外の要望に、咲は少し戸惑った。真面目で優しい人あの生徒会長に対してそのような不埒な事をするなんて閻魔の顔知らず、そんな称号がつきそうだ。
「何を罠を仕掛けろ、と?」
「落とし穴です。定番ですが引っ掛かりやすい罠。それで……落とし穴の中にこれを入れたら楽しいと思いませんか?」
差し出されたバケツの中を見た咲は吹き出した。

計画は順調に進んだ。
場所は体育館。体育館の下には昔使っていたプールがあり、その中に落とすという作戦。
生徒会長、桜坂亜夜乃の妹を想う愛を利用した、いやらしい罠だ。
勿論、亜夜乃の妹、志保に協力してもらう事になった。
そして運命の日……。

「ここならよく見えるから、ここで見物しましょう」
咲と寺町、三条の三人は体育館の二階にあるギャラリー席で様子を見ていた。
「志保ー。準備は大丈夫?」
「大丈夫です!」
「問題は亜夜乃のがこれで引っ掛かるかどうかなんだけど……あ、来た……」
生徒会長は見回りにやって来た。夜でもないのに懐中電灯を持って体育館の中に入ってくる。
すると……。
「ひくっ……グスン……うわ~ん」
必殺の妹の小学生泣きだ。引っ掛かれ生徒会長!
「志保! どうしたの!?」
亜夜乃は志保に一直線にやってくる。その途中、あと一歩といったところで体育館の模造床が壊れ、亜夜乃はプールの中に消える。
「きゃああぁぁ」
そして落ちた瞬間のグチャリという音が体育館に響いた。
「…………」
暫くした後に亜夜乃ははい上がってきた。緑色のベールに包まれた彼女が不快な顔して現れた。
亜夜乃は全身緑色のスライムまみれになっていた。ギャラリー席にいた咲たちは亜夜乃の前まで行く。
「あらあら生徒会長さん。どうしてそんなに汚い格好で?」
咲が意地悪な質問をしているが汚いという言葉じゃ済まされない程に亜夜乃の制服は汚れている。
髪から足までスライムが包み込んでいて、ひどく言ったら異星人だ。
「こ、これはあの……ファッションだって。テレビでやってたの」
亜夜乃はなんとかごまかそうと、その後もファッションだのお洒落だの言って、最後は今にも泣きだしてしまいそうだった。

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